株式会社セラードさんの紹介でブラジル・ミナス・ジェライス州のパトロシーノ市にあるエキスポカセールにお世話になりました。エキスポカセールには山口彰男氏をはじめ、多数の有能なスペシャリストが働いており、そこで長い間勉強させて頂きました。
ブラジル中東部に広がり、日本の面積の約5倍にもなるセラード高原。パトロシーニオ市を中心に南北200キロ東西200キロのエリアで良質のアラビカ種が生産されています。
このセラード地帯は他のブラジルコーヒーと比べると・・・
● 海抜900m~1200mでブラジル国内最高地域(高地になれば朝夕の気温差が大きく、コーヒーの実が引き締まります)
私がこのセラードに来て一番驚いた事は近代的な生産方式でした。
収穫には、手摘みの方法と収穫機による収穫方法があります。
私が様々な農園を回った時は、ほとんどが機械による収穫でした。
この機械は1000人分の労働力があるそうです。
確かに手摘みで赤く熟した実だけを取り水洗処理をするのが一番良いとは思われますが、見える範囲全てが農園というこの広さでどれだけの人件費を費やすか。
2002年現在コーヒーの生産国は、ブラジル・ベトナムの大豊作のため相場は低迷しており、肥料をも買えない農園が増えています。
こうした中セラードは機械化を導入する事で、諸経費を削減し品質管理に重点をおいている様に感じ取れました。
収穫後の豆はすぐに果肉を除去しないと腐り、香味に大きな影響を与えてしまいます。
収穫機によって収穫された中には豆だけでなく石片、土、木片、小枝などが含まれています。この水洗機械で収穫後のコーヒーチェリーを水洗いして、表面に付着した汚れを落とすと同時にこれら不純物を分離除去します。
豆を水に通した時、黒く完熟した豆(ボイヤー)は軽いため浮き、そのまま別ルートに送られます。(ボイヤーはそのまま乾燥場へ送られる)赤く熟した豆と未熟豆は次の工程へと送られます。
この工程ではコーヒーの果実が速度の違う2本のローラーの間を水と共に通過し、果実を分離する仕組みとなっています。赤く熟した豆は外皮が柔らかい為、こ の回転式皮ムキ機のドラムの中で容易に果肉除去され次の工程へと進められますが、未熟豆は青くて硬いため果肉除去されずローラーに弾かれて除外され、ここ で赤い豆と分離されます。
しかし、一番右の画像を見てもらえればお分かりですが、たまに未熟豆でも果肉除去されてしまう時があります。これを解決するのが一番難しいと悩んでいました。
だいたい欠点豆が4,5%入ると味が変わると言われています。
果肉除去された豆の表面には果肉成分である滑り(ムシラージ)が付着しています。この滑りを取らないと発酵してしまうので、この段階で少量の水を使い機械的に除去します。
そして洗浄されたパーチメント(一番右の画像)になり、乾燥場に送られます。
未熟豆は2級品として、国内用として使用されます。
ブラジルはコーヒーの国というイメージが強いですが、国内で飲んでいるコーヒーはあまり品質が良くないのばかりでした。実際、ブラジルのコーヒーの工場に行く機会がありましたが、とても品質が悪い物が多いのに驚かされました。
水洗で選別された豆は、すぐに乾燥場に運ばれます。この段階でいかに水気を取るのかが重要になってきます。ここで豆を広げ、均一に太陽の光に当たるように します。しかし、そのままだと太陽の光が当たっている所と当たっていない所で気温差が生じる為、また空気中の温度とコンクリートの温度差により発酵してし まう可能性があるので真ん中の画像の様に定期的にきちんとした攪拌が必要になります。
一番右の画像はアフリカでも利用されていますが、サンドライと比べ網の上で豆を広げているため温度差が生じる事はありません。風を利用した乾燥方法です。 まだまだ普及率は低いですが、今後の豆の良し悪しを見る一つの材料となるかも知れません。ちなみにこの乾燥方法の名前ですが山口彰男氏が名付けたもので、 まだ(2002年現在では)正式には決まっておりません・・
大きな回転ドラム内(一番右の画像)に、一度に約4トンの生乾き状態のパーチメントを投入し、熱風を利用して低温(約40度)で水分の含有量が12%前後になるまでゆっくり乾燥させます。その後パーチメントの状態で水分を安定させる為専用倉庫で保管されます
一番左の画像がボイラーでそこから熱風を送り込み、その燃料としてユウカリの木が用いられています。ユウカリの木は一度伐採してもすぐに成長しますので、 この農園(ボアビスタ農園)では燃料として利用していました。環境を大事にし、効率よく再利用している点も、大きな特徴でもあるといえます。
天日乾燥だけ、乾燥機だけというより、この様に二つの乾燥方法を併用した方が安定性があります。
さて、このままずっと保管していても意味がありません。
この次の工程として脱穀を行います。
この時点でのコーヒーはパーチメント(内果皮)に覆われていて、これを脱穀するとコーヒー豆(生豆)が現れます。私達が飲んでいるコーヒーはこの状態の豆を焙煎して飲んでるのです。
最後に精選された豆の欠点豆や異物を除去する作業が選別です。例えば、振動による比重選別(左の画像)やカラー選別(真ん中の画像)などが行われます。一 番右の画像を見てもらえと分かると思いますが、その中でも左の豆が選別された生豆で、右の生豆が選別されていない豆です。
このようにして様々な過程を経て最後にカップテストを行い、それに合格できたコーヒーだけが輸出されます。このカップテストはコーヒーのうまい、まずいを判断するのではなくコーヒーの欠点を指摘する事を指します。
ブラジルではこの判断が一般的で欠点がなければ良いという風に感じ取れましたが、このセラードでのカップテストは、
と比べ厳密なものでした。
この精製工程で生豆の資質が決まると言っても過言ではない位、重要な作業なのです。
つまりこの一連の過程がコーヒーの味に影響するのです。

お世話になります!ネットショップ店長の「西山力生」です。