column7 -カフェインレスコーヒーというやさしい選択-【探究編】

コーヒーの知識
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除去方法・焙煎・抽出まで詳しく解説


前回の入門編では、カフェインレスコーヒーもしっかりとおいしく楽しめるコーヒーであることをお伝えしました。

ここからはもう一歩進んで、

✓ どんな方法でカフェインを抜いているのか

✓ その違いで味がどう変わるのか

✓  なぜ焙煎や抽出が重要になるのか

について、入門編より少し内容を深めながら、無理なく読める形でご紹介していきます。


カフェインレスコーヒーは『焙煎前にカフェイン除去処理』を行う


まず最初に、通常のコーヒーとの大きな違いを整理しておきます。

通常のコーヒーは、生豆をそのまま焙煎します。
一方、カフェインレスコーヒーは焙煎の前に生豆の段階でカフェイン除去処理を行います。

通常のコーヒーの生豆からカフェインを除去した後、焙煎してカフェインレスコーヒーとして仕上がります。

つまりカフェインレスのコーヒー豆は、通常のコーヒー豆から単純に「カフェインだけ」を取り除いたものではありません。

焙煎をする前からすでに生豆の状態が変化しており、その変化が焙煎後の味わいの出方にも影響を与えます。

 


なぜカフェインレスは味が変わるのでしょうか


なぜならカフェインだけが抜けるわけではなく、豆の状態そのものが少し変わるからです。

コーヒーの味わいは、香りのもとになる成分、甘みにつながる成分、の印象、質感に関わる成分など、
さまざまな要素が重なって一杯の味になります。

そしてカフェインの除去方法は、生豆を水や圧力、あるいは特定の処理工程にさらして行われます。
その過程で、豆はどうしても何らかの影響を受けます。たとえば、次のような変化が起こることがあります。

そのため同じ産地の豆であっても、通常のコーヒーとカフェインレスでは焙煎後の印象が少し変わってきます。

つまりカフェインレスの味の違いは「カフェインがなくなったから」というよりも、
「カフェインを抜く工程によってその後の焙煎条件が変わるから」
と考えるほうが自然かもしれません。

ここが見えてくると、なぜ製法の違いが大事なのかも、自然につながってきます。

 


カフェイン除去方法は4つに大きく分けられる


① 有機溶媒法(ケミカルプロセス)

もっとも古くから行われてきた方法のひとつで、酢酸エチルやジクロロメタンといった溶媒を使ってカフェインを除去します。
効率が高く、コストを抑えやすく、大量処理に向いています。

一方で、処理の仕方によっては、カフェイン以外の風味要素にも影響しやすく、香りや余韻がやや平たくなりやすいことがあります。
安全基準は満たされていますが、味づくりを重視する立場から見ると慎重に見たい方法です。

 

② ウォータープロセス(スイスウォータープロセスなど)

水を使ってカフェインを除去する方法です。
生豆を水に浸し、溶け出した成分を含んだ水のうち、カフェインだけを活性炭フィルターで取り除いていきます。
薬品を使わないため、やさしい印象を持たれやすい方法です。

ただ、味づくりの面では、豆の個性がやや穏やかになりやすいという特徴があります。
そのため、焙煎でどう甘みや香ばしさを引き出すかが重要になります。
飲み口のやわらかさは魅力ですが、焙煎の質によって差が出やすい方法でもあります。

※スイスウォータープロセスは、カナダのSwiss Water社による製法で、生豆由来の抽出液を使ってカフェインを除去しています。

 

③ 超臨界二酸化炭素(CO₂)プロセス

二酸化炭素を高圧・高温で超臨界状態にし、カフェインを優先的に取り除く方法です。
精度が高く、風味成分を保ちやすいことから、品質面で評価されやすい製法です。

味わいとしては、香りや厚み、コーヒーらしさが残りやすい傾向があります。
「デカフェでもちゃんとコーヒーだ」と感じやすい仕上がりになりやすく、味を重視する視点では非常に理にかなった方法です。

 

④ マウンテンウォータープロセス

メキシコの山岳地帯の天然水を使った水抽出法で、メキシコのDescamex社の専有技術です。
ウォータープロセスの一種ですが、その工程は詳細には公開されていません。

天然水を使ったやわらかな処理によって、コーヒー豆が本来持つ香りや甘み、やわらかな質感をできるだけ残すことを重視した製法です。

産地や品種、精製方法、焙煎によって生まれる個性や品質を大切にするスペシャリティコーヒーとも相性がよく、素材そのものの持ち味を活かしたいカフェインレス加工に選ばれやすい方法といえます。

 


除去方法の違いはどこに現れるのか


製法の違いは、実際に飲むときには「香り・厚み・余韻」の3つで見ると分かりやすくなります。

香り

ふわっと自然に立つか。
香ばしさや甘い印象が感じられるかどうか。

厚み

口に含んだときに、薄く感じすぎないかどうか。
水っぽくならず、ある程度の質感があるかどうか。

余韻

飲み込んだあとに、味が平たく終わらないかどうか。
短すぎず、濁りすぎず、自然に終わるかどうか。

この3つが揃っていると、カフェインレスでも「ちゃんとコーヒーを飲んだ」と感じやすくなります。

西山珈琲で製法を重視するのは、この3つがどれだけ残るかを見るためです。

 


焙煎は重要な役割


カフェインレスのコーヒー豆は、生豆の段階ですでにカフェイン除去処理を受けているため、
通常のコーヒー豆と同じ焙煎方法をそのまま当てはめても、思ったような味にならないことがあります。

例えば、

浅すぎると味の線が細くなり、物足りなさを感じやすい
深すぎると味が単調になりやすい
甘味を出したいのに香りだけが先に抜けてしまう
コクではなく、重たさだけが残って後味が鈍くなる

といったことが起こりやすくなります。

だからこそ、カフェインレスではどこまで火を入れるかだけでなく、
どんな質感と余韻を目指すかがとても大切です。

西山珈琲で重視しているのは、このバランスが成り立っているかどうかです。
苦すぎず、軽すぎず、やわらかな甘みとコーヒーらしさを残した、日常に寄り添う豆を選んで焙煎しています。

 


抽出方法で味はどう変わるのか


実は、コーヒーの味わいは淹れ方によって印象がかなり変わります。

 

もっとも扱いやすく、味の輪郭を整えやすい方法です。

やわらかく、すっきりした印象になりやすく、
カフェインレスの穏やかさを自然に出しやすいです。

はじめてカフェインレスを淹れる方にも向いています。


 

オイル分まで出やすく、質感がやや厚くなります。

カフェインレスで「少し物足りない」と感じる方には、
飲みごたえを出しやすい方法です。


カフェインレスは、ミルクとの相性がよいものも多いです。

特にブラジル系のやわらかなタイプは、ミルクを加えることで自然な甘みが引き立ちます。

夜にやさしく飲みたいときにも向いています。

 


カフェインレスコーヒーをおいしく淹れるコツ


カフェインレスをおいしく淹れようとすると、「物足りないかもしれないから濃くしよう」と考えがちです。
けれど、必要以上に濃くしすぎると、かえってバランスが崩れることがあります。
重たさだけが出たり、後味が鈍くなったりしやすいからです。

基本は、

極端に濃くしすぎない
温度を高くしすぎない
抽出を長くしすぎない

ことです。

カフェインレスコーヒーは、強く押し出すよりも、自然に輪郭を整えてあげるほうが魅力が出やすいことがあります。

はじめてなら、まずはペーパードリップで。
通常のコーヒーと同じレシピをベースにしつつ、少しだけ丁寧に、少しだけ穏やかに淹れてみる。
そのくらいから始めると失敗しにくいと思います。

 


珈琲豆知識「ローリナ」という品種もあります


今はまだ流通量が少なく普及していないものの、ローリナ(Laurina)は、通常のコーヒーよりカフェイン量が少ないことで知られる品種です。しかし、デカフェよりさらにカフェインが少ないわけではありません。

デカフェは後からカフェインを大きく除去したもの、ローリナは品種そのものとして通常のコーヒーよりカフェインが少ないものです。

つまり、しっかりカフェインを抑えたいならデカフェ、通常のコーヒーより少しカフェインを控えめにしたいならローリナという選択もあります。

 


西山珈琲の考え方


西山珈琲では、カフェインレスコーヒーを選ぶときに、単に「カフェインが少ないかどうか」だけでは見ていません。

どんな方法でカフェインを除去しているか、その処理のあとにどれだけ風味が残るか焙煎で良さをどう導きだすか毎日でも飲みたくなる味かどうかを見ています。

「カフェインレスだから、味わいが少し物足りなくても仕方がない」とは考えていません。

カフェインレスであっても、コーヒーとして満足感がきちんとあることを大切にしています。

 

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店長のひとこと

カフェインレスは、普通のコーヒーより簡単においしくなるものではありません。
だからこそ、どんな方法でカフェインを抜いているか、焙煎でどこまで甘みやコクを出せるかをしっかり見ています。

「カフェインレスでもおいしい」と感じていただける一杯をお届けしたいです。

現在は、西山珈琲のカフェインレスコーヒーはブラジル産のみの取り扱いとなりますが、
今後は産地や味わいの幅も広げていけるよう、よい豆を探していきたいと思っています。

最高の一杯をあなたに。ブラジル政府公認珈琲鑑定士 西山力生のご紹介



西山珈琲 店主・焙煎士 西山 力生
ブラジル政府公認 珈琲鑑定士(クラシフィカドール)

西山珈琲公式通販の店長「西山力生」です。
焙煎はもちろん、ネットショップのお客様係りでもありますので、ご要望などがございましたら何なりとお申し付け下さいませ。
「珈琲」を通して皆様に「美味しさ」と「楽しさ」をお届けが出来る様にこれからも精進していきたいと感じております。
皆様のご感想・ご意見をお聞かせ下さい。


「ブラジル政府公認 珈琲鑑定士」とは?
お客様にお届けするコーヒーの品質を保証するため、私の持つ専門資格について少しだけお話しさせてください。
私が保有する「珈琲鑑定士(クラシフィカドール)」は世界最大のコーヒー生産国であるブラジル政府が公式に認める、いわばコーヒーのプロフェッショナルを証明する国家資格です。

具体的には、以下のような専門的な鑑定を行います。
☑品質の最終チェック: 生産工程の最後に、豆に欠点がないか、品質基準を満たしているかを厳しく鑑定します。
☑味覚検査(カッピング): 香り、酸味、甘味、苦味、コクといった様々な味の要素を専門的に分析・評価し、そのコーヒーが持つポテンシャルを正確に見極めます。 ☑産地・銘柄の評価: 各産地のコーヒー豆が持つ本来の個性や品質を鑑定し、最高の素材を選び抜きます。

鑑定士の技術が、あなたの一杯に繋がるまで
この珈琲鑑定士としての経験と技術は、当店で販売するすべてのコーヒーに注がれています。
生豆の買い付けから、豆の個性を最大限に引き出すための焙煎プロファイルの作成、そして日々の品質管理まで、鑑定士の視点で行うことで、常に高品質で美味しいコーヒーを皆様にお届けすることをお約束します。

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